クリプトカードとは、暗号資産を残高としてVisaやMastercardの加盟店で支払えるカードのことである。 日本では「仮想通貨デビットカード」「暗号資産カード」とも呼ばれる。
ただし「クリプトカード」という言葉は、日本では二つのまったく違うものを指す。この記事はそのうち海外の発行会社が出している、暗号資産そのものを残高にするカードを扱う。
「クリプトカード」の二つの意味
日本で検索すると、次の二つが混ざって出てくる。
1. 暗号資産を残高にするカード(この記事の対象) RedotPay、Bybit、Bitget、ether.fi など、海外の事業者が発行する。ウォレットや取引所の残高から直接引き落とされる。
2. 日本の事業者が出す「使うと暗号資産で還元されるカード」支払い自体は日本円で、還元だけが暗号資産で戻ってくる。決済の仕組みは普通のクレジットカードと同じである。
両者は仕組みも、必要な手続きも、税金の扱いも違う。 名前が似ているだけで別物なので、どちらの話をしているのか最初に確認したほうがよい。
仕組み:クレジットカードではない
多くの人が誤解しているのはここである。
クリプトカードのほとんどはクレジットカードではない。 デビットカードまたはプリペイドカードで、あらかじめ入れた残高から引き落とされる。与信枠はなく、居住国の信用審査も通らない。だからこそ、現地の銀行口座を持たずに作れる。
支払いの流れはこうなる。
- カードのアカウントに暗号資産を入金する
- 店で決済する(加盟店側はVisa・Mastercardの通常決済として処理する)
- 発行会社が暗号資産を法定通貨に換えて加盟店に支払う
- その換算のときに手数料と為替差が乗る
加盟店から見れば普通のカード決済なので、「暗号資産に対応している店」を探す必要はない。VisaやMastercardが使える店ならどこでも使える。
手数料はどこで取られるか
「年会費無料」だけを見ても意味がない。実際に減るのは次の項目である。
| 項目 | 何にかかるか |
|---|---|
| 発行手数料 | バーチャルカード・物理カードそれぞれ |
| 年会費 | 無料のものも多いが、等級制のカードは有料 |
| 外貨取引手数料 | 決済通貨がカードの基準通貨と違うとき |
| 暗号資産の換算 | 暗号資産を法定通貨に換えるときの手数料・スプレッド |
| ATM出金 | 引き出しごと。最低手数料が設定されていることがある |
| 入金手数料 | チャージ方法によって変わる |
日本で使う人が見落としやすいのは外貨取引手数料である。 これらのカードの多くは米ドル建てで、日本円での買い物は「基準通貨以外の取引」として扱われる。つまり国内で使っても外貨手数料がかかることがある。海外に行ったときだけの費用ではない。
各カードの実際の数字は手数料の比較表にまとめてある。発行会社の公式資料から一項目ずつ取り、出典と確認日を明記している。公式が公開していない項目は推測で埋めず「未公開」と書く。
日本から申し込めるのか
カードによって違う。 そして厄介なことに、多くの発行会社は「申し込める国の一覧」を公開していない。公開しているのは「申し込めない国の一覧」だけ、という会社が多い。
そのため本サイトでは、日本については三つの状態に分けている。
- 公式資料に日本が明記されている
- 公式が日本を除外していない(ただし明記もされていない)
- 公式が日本を明確に除外している
「除外されていない」は「申し込める」という意味ではない。この区別を曖昧にしたまま「日本OK」と書いている記事は多いが、そこは分けて書くべきところである。カードごとの状態は日本から申し込めるカードにまとめてある。
なお、これらの発行会社の多くは日本の金融庁に暗号資産交換業者として登録していない。登録の有無は、トラブルが起きたときにどの国の法律で保護されるかに関わる。使う前に確認しておいたほうがよい。
使ったら税金はどうなるか
日本円に換金していなくても、カードで買い物をした時点で所得が生じうる。
国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(情報)」(令和7年12月26日)問1−2にはこう書かれている。
保有する暗号資産で商品を購入した場合、保有する暗号資産を譲渡したことになりますので、この譲渡に係る所得金額は、その暗号資産の譲渡価額とその暗号資産の譲渡原価等との差額となります。
つまりカード決済は、売却したのと同じ扱いになる。「カードを使えば申告義務を回避できる」という説明はすべて誤りである。 詳しくは仮想通貨デビットカードの税金にまとめた。
よくある質問
クリプトカードはクレジットカードですか?
ほとんどは違う。デビットカードまたはプリペイドカードで、あらかじめ入金した残高から引き落とされる。与信枠はなく、信用審査もない。
日本の店でも使えますか?
VisaやMastercardの加盟店であれば使える。ただしカードの基準通貨が米ドルの場合、日本円での支払いは外貨取引として扱われ、手数料がかかることがある。
暗号資産を持っていなくても作れますか?
作れるが、残高がなければ支払いはできない。カード自体の発行と、使えるようにするための入金は別の手続きである。
どのカードがいいですか?
使い方によって変わる。金額を大きく使う人は外貨手数料と換算手数料、たまにしか使わない人は発行手数料が効いてくる。全カードの手数料比較で自分の使い方に近い条件を見てほしい。
日本での課税の取扱い
このカードで支払うということは、保有する暗号資産を手放すということである。国税庁は、暗号資産で商品を購入した時点で「譲渡」があったものとして扱うと明記している。つまり日本円に換金していなくても、カードで買い物をした時点で所得が生じうる。
保有する暗号資産で商品を購入した場合、保有する暗号資産を譲渡したことになりますので、この譲渡に係る所得金額は、その暗号資産の譲渡価額とその暗号資産の譲渡原価等との差額となります。
国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(情報)」令和7年12月26日 問1−2「暗号資産で商品を購入した場合」
所得区分
暗号資産取引により生じた利益は、原則として雑所得(その他雑所得)に区分される。ただしその年の暗号資産取引に係る収入金額が 300 万円を超える場合は、帳簿書類の保存があれば原則として事業所得、保存がなければ雑所得(業務に係る雑所得)となる。
問2−2「暗号資産取引の所得区分」〔令和7年12月更新〕
カードで使う場合の注意点
- 取引ごとに記録が要るカード決済は回数が多い。1回ごとに「そのときのレート」と「取得価額」が必要になるため、後からまとめて計算するのは難しい。明細を月次で保存しておくほうがよい。
- ステーブルコインでも同じ扱い価格がほぼ動かない USDT・USDC であっても、暗号資産を手放したことに変わりはない。取得時と決済時のレート差がゼロに近いだけで、取引としては発生している。
- キャッシュバックも受け取った時点の価額で見る暗号資産で受け取るキャッシュバックは、受け取った時点の時価が基準になる。受け取った後に値上がりして売れば、その分は別途の損益になる。
- 海外発行のカードでも日本の課税は変わらない発行会社が日本の登録業者かどうかと、日本の居住者に課税されるかどうかは別の話である。「海外のカードだから申告しなくてよい」という説明は誤り。
- 年間取引報告書は出ないことが多い国内の暗号資産交換業者が発行する年間取引報告書は、海外のカード発行会社からは基本的に出てこない。自分で記録を残す前提で使うことになる。
本サイトは情報提供のみを行っており、税務上の助言ではない。上記は国税庁が公表している取扱いを引用したものであり、個別の判断については税理士または所轄の税務署に確認してほしい。なお「このカードを使えば申告義務がなくなる」という説明はすべて誤りである。
出典:国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(情報)」(PDF) 令和7年12月26日発行 本サイト確認日 2026-08-17