本サイトが手数料を確認した13枚のうち、発行会社の公式資料に日本が明記されているのは3枚である。 2枚は日本を明確に除外している。残りの8枚は、公式が対応国を公開していないだけで、「申し込める」とはどこにも書かれていない。
多くのランキング記事は、この区別をつけずに8枚も10枚も並べる。この記事は先に区別をつける。申し込めるかどうかがはっきりしないカードを、手数料の安さで1位にしても意味がないからである。
日本が公式資料に明記されている3枚
ether.fi Cash Card
物理カードの発送対象国リストに日本が明記されている。加えて「ether.fi Cash が利用できない国」のリスト(24か国と米国15州)にも日本は含まれていない。除外リストと対象リストの両方で確認できる、本サイトが扱う中で最も根拠がはっきりしたカードである。
- 年会費:無料
- 外貨取引手数料:基準レート約1%+等級による上乗せ0〜0.5%(Core)
- キャッシュバック:月間2,000USDまで3%(超過分は1%、さらに超えると0.5%)
- バーチャルカード発行:10USD/物理カード:50USD(Core)
信用枠モデルで、担保にした資産を売らずに使えるのが他と違う点。詳細はether.fi Cash Card。
Bitget Wallet Card
物理カードの申込資格に日本が明記されている(シンガポール・韓国・日本・ベトナム・マレーシア・台湾・オーストラリア・タイ・フィリピン)。当該国の国民または居住者であることと住所証明が必要とされている。
- 年会費:無料
- 外貨取引手数料:1.7%
- キャッシュバック:最高3%(月間対象額600USD)。USDC・BTC・金・米国株から受け取る資産を選べる
- バーチャルカード発行:無料/物理カード:49USD
本サイトが扱う中で唯一のノンカストディアル(非保管型)カードで、資産が自分の秘密鍵の側に残る。詳細はBitget Wallet Card。
Tria Card
公式ヘルプセンターのATM出金の記事が日本を名指しし、セブン銀行・イーネット・ローソン銀行・ゆうちょ銀行・イオン銀行での動作と、1回あたり約10万円という日本側の上限まで具体的に書いている。日本のATM事情をここまで具体的に書いている発行会社は他にない。
ただし年会費が必要である。
- 年会費:Virtual 25USD/Signature 109USD/Premium 250USD(いずれも毎年)
- 外貨取引手数料:最大3%(公式の記載に不一致があり、本サイトは断定していない)
- キャッシュバック:Virtual 1.5%/Signature 4.5%/Premium 6%
キャッシュバックの支払い開始が公式のTGE(トークン生成イベント)後およそ3か月とされている点に注意。詳細はTria Card。
日本を明確に除外している2枚
Bybit Card と OKX Card は、公式が日本居住者向けのサービスを提供しないと明記している。Bybitについては2026年から段階的に日本居住者向けサービスを終了すると公表されている。
手数料の条件だけを見て他サイトのランキングに載っていることがあるが、申し込めないカードに順位をつけても仕方がない。
残りの8枚は「わからない」
RedotPay、Crypto.com、KAST、Infini、MEXC、Binance、Pionex、MEXC ether.fi の8枚については、発行会社が対応国の一覧を公開していない。
たとえばRedotPayが公開しているのは「非対応の国・地域」のリスト(41か国)だけで、日本はそこに含まれていない。ただしこれは**「除外されていない」ということであって、「申し込める」と公式が書いているわけではない。** 本サイトはこの二つを別のものとして扱う。
KASTに至っては、公式の説明が「KYCの際にドロップダウンから国を選ぶ。載っていなければまだ対応していない」というもので、一覧そのものが存在しない。
この8枚について「日本OK」と書いている記事を見かけたら、その根拠がどこにあるのか確認したほうがよい。 本サイトは確認できなかったので、確認できなかったと書く。
選ぶときに見る順番
1. まず申し込めるか
手数料より先である。上の3枚以外は、公式の裏づけがない状態で手続きを始めることになる。
2. 次に外貨取引手数料
これらのカードの多くは米ドル建てなので、日本円での買い物も「基準通貨以外の取引」として扱われる。 国内で使っても外貨手数料がかかるということで、海外旅行のときだけの費用ではない。月に何万円も使うなら、ここの1%差が発行手数料の差をすぐ追い越す。
3. 発行手数料は使う量が少ない人ほど効く
たまにしか使わないなら、バーチャルカード無料のBitget Walletのほうが総額で有利になりやすい。
4. キャッシュバックは「上限」と「条件」まで見る
「最大◯%」だけを比べても意味がない。ether.fiの3%は月2,000USDまで、Bitget Walletの3%は月600USDまでである。上限を超えた分は率が下がるか、そもそも対象外になる。
税金の扱いは全カード共通
どのカードを選んでも、日本円に換金していなくてもカードで買い物をした時点で所得が生じうる。 国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(情報)」(令和7年12月26日)問1−2にこう書かれている。
保有する暗号資産で商品を購入した場合、保有する暗号資産を譲渡したことになりますので、この譲渡に係る所得金額は、その暗号資産の譲渡価額とその暗号資産の譲渡原価等との差額となります。
カードの選択で税金が変わることはない。詳しくは仮想通貨デビットカードの税金。
よくある質問
結局どれがおすすめですか?
公式の裏づけを重視するならether.fi。発行コストを抑えたいならBitget Wallet。日本のATMで現金を引き出す用途がはっきりしているならTria。この3枚以外は、申し込める確証がない状態からのスタートになる。
「日本対応」と書いてあるサイトが多いのはなぜですか?
除外リストに載っていないことを「対応」と書いているケースが多い。本サイトはその二つを分けている。どちらが正しいかではなく、根拠の強さが違うということを読者に伝えるべきだと考えている。
手数料の数字はどこから取っていますか?
すべて発行会社の公式資料である。各カードのページに出典URLと確認日を明記している。公式が公開していない項目は推測で埋めず「未公開」と書く。検証方法に手順をまとめてある。
日本での課税の取扱い
このカードで支払うということは、保有する暗号資産を手放すということである。国税庁は、暗号資産で商品を購入した時点で「譲渡」があったものとして扱うと明記している。つまり日本円に換金していなくても、カードで買い物をした時点で所得が生じうる。
保有する暗号資産で商品を購入した場合、保有する暗号資産を譲渡したことになりますので、この譲渡に係る所得金額は、その暗号資産の譲渡価額とその暗号資産の譲渡原価等との差額となります。
国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(情報)」令和7年12月26日 問1−2「暗号資産で商品を購入した場合」
所得区分
暗号資産取引により生じた利益は、原則として雑所得(その他雑所得)に区分される。ただしその年の暗号資産取引に係る収入金額が 300 万円を超える場合は、帳簿書類の保存があれば原則として事業所得、保存がなければ雑所得(業務に係る雑所得)となる。
問2−2「暗号資産取引の所得区分」〔令和7年12月更新〕
カードで使う場合の注意点
- 取引ごとに記録が要るカード決済は回数が多い。1回ごとに「そのときのレート」と「取得価額」が必要になるため、後からまとめて計算するのは難しい。明細を月次で保存しておくほうがよい。
- ステーブルコインでも同じ扱い価格がほぼ動かない USDT・USDC であっても、暗号資産を手放したことに変わりはない。取得時と決済時のレート差がゼロに近いだけで、取引としては発生している。
- キャッシュバックも受け取った時点の価額で見る暗号資産で受け取るキャッシュバックは、受け取った時点の時価が基準になる。受け取った後に値上がりして売れば、その分は別途の損益になる。
- 海外発行のカードでも日本の課税は変わらない発行会社が日本の登録業者かどうかと、日本の居住者に課税されるかどうかは別の話である。「海外のカードだから申告しなくてよい」という説明は誤り。
- 年間取引報告書は出ないことが多い国内の暗号資産交換業者が発行する年間取引報告書は、海外のカード発行会社からは基本的に出てこない。自分で記録を残す前提で使うことになる。
本サイトは情報提供のみを行っており、税務上の助言ではない。上記は国税庁が公表している取扱いを引用したものであり、個別の判断については税理士または所轄の税務署に確認してほしい。なお「このカードを使えば申告義務がなくなる」という説明はすべて誤りである。
出典:国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(情報)」(PDF) 令和7年12月26日発行 本サイト確認日 2026-08-17